M3直前緊急インタビュー!
2016春M3のリリースに合わせて、HARDCORE TANO*C所属のトラックメーカー「RoughSketch」氏にインタビューをしてきました!遠方という事もあり、今回はまさかのSkypeを使用してのインタビューとなっております。
M3新作CDの情報から始まり、新譜の制作秘話や、氏の音楽のルーツ、北海道のハードコア事情など、個人の話までたくさん聞くことが出来ました。大ボリュームのこのインタビュー、是非最後まで目を通してもらえたらと思います。お見逃しなく!
PROFILE: RoughSketch
Notebook Records(JP)主催。日本の札幌を拠点にトラックメイカー、DJ、レーベルオーナーといった活動を行っている。ハードコアテクノに様々な音楽の手法を加えた個性的なスタイルが特徴的。オランダの老舗ハードコアレーベルMegarave Recordsをはじめ自主レーベルNotebook Records(JP)や日本国内のX-TREME HARD、HARDCORE TANO*Cなどのレーベルからオリジナルトラック、Remixを発表している。DJ Paul Elstak、Evil Activities、DJ Mad Dogといったハードコアシーン最前線のDJによるMIX CDに楽曲が収録。2012年にはHard Dance AwardsのBest International DJ Asia部門2位獲得。さらに2013年、This is Hardcore Remix Contestに入選するなど、国境を越えて高い評価を得ている。2014年からは、KONAMIの音楽ゲームブランドBEMANIが主催する「beatnation RHYZE」にL.E.D.氏の推薦で加入。フットワークの軽さを多方面で発揮している。DJとして活動も精力的である。Human Resource、Gammer、Kutski、Current Value、Suburbass、DJ Plagueなどのアーティストと競演を果たしている。札幌で唯一のハードコアイベントYATSUZAKI HARDCOREの主催も行っている。自身レーベルNotebook Records(JP)の展開も活発で、ハイクオリティなトラックのリリースはもちろん、Endymion、Hellsystem、Nitrogenetics、THE SPEED FREAK、DJ Plagueといったシーンの第一線で活躍するトラックメイカーのトラックをリリース。日本のハードコアを世界に、そして世界のハードコアを日本に繋げている。
OFFICIAL SITE: http://notebookrecords.net/
Twitter: http://twitter.com/uno_roughsketch
~10年分の軌跡と夢~
DOLCE.さて、またまたやって来てしまいました!「DOLCE.のなんすかコレ!?」のコーナー!世間では「2016春M3」開催間近でバタバタしている頃と思いますが、今回はそのM3にてベストアルバムを頒布予定の「RoughSketch」さんに、新作CDのお話と、北海道のハードコア事情、更には制作周りや私生活についてまで?DOLCE.が「なんすかコレ!?」と思った事を根掘り葉掘りお伺いしていきたいと思います!
今日はよろしくお願いします!
RoughSketch宜しくお願いしまーす!
DOLCE.ではでは早速ですが、M3のアルバムに関するお話から始めさせて頂きたいと思います!今回RoughSketchさんはベストアルバム「10 Years of RoughSketch ~ RoughSketch Best Album 2006 – 2016 ~」をリリースされるということですが、こちらの作品はどんなベストアルバムで、どのように仕上がりましたか?
RoughSketch最高な出来に仕上がりました!
DOLCE.分かりやすい!(笑)
RoughSketchって言うといきなりアレなんですけど(笑)3枚組のCDって海外の作品だと(GABBAのCDだと)よくあるんですけど、昔からずっと作りたくて、作りたくて、今回初めて3枚組のCDが出来たので、10年分の夢が詰まったCDになっています。
DOLCE.なるほど!活動10週年にして10年分の夢が詰め込まれた念願のアルバムという事ですね!
RoughSketchそうですね!あの、3枚組のプレステのディスクの感じわかります?
DOLCE.あのFFとかMGSみたいな感じですか?(笑)
RoughSketchそうそうそう!あーいう感じのケースに入っているアルバムなので、かなり夢を詰め込みました(笑)
DOLCE.確かにあんな感じにぎっしりディスクが詰まっていると、夢がありますよね!うわーこれどれだけ遊べるんだろうみたいな(笑)同人作品で3枚組っていうのも中々無いですよね!
RoughSketchそうですね~。それこそREDALiCEさんの「RED」ぐらいな気がしますね!
DOLCE.あ~確かに!2枚組っていうのはたまーに聞きますけど、やはり3枚ってのは凄いですね…。アルバムのタイトル通りですが、活動期間って10年になるんですね!
RoughSketchそうですね、RoughSketchっていう名前で初めてコンピに曲が収録されたのが2006年、「M-project」さんのコンピと「HARDCORE TANO*C」の「Remixes」が同時期で初リリースでした。
DOLCE.初代Remixesの頃からになるんですね…!自分が全く知らない時代のリリースで驚いています。2006年からの10年分の楽曲たちが詰め込まれているということは、確かに3枚組になるのも頷けますね!その3枚組ディスクですが、それぞれのディスクのコンセプトなどはあるのでしょうか?
RoughSketch今回のベストアルバムはディスク1が全部オリジナル曲のベスト、ディスク2がリミックスで、自分がリミックスした曲と、リミックスしてもらった曲のベスト、ディスク3はMEGA MIXになっていて、27曲厳選したものを繋いで収録しています。それらを合わせると全55曲になります!
DOLCE.全55曲!とんでもないボリュームですね!10年の歴史は伊達じゃない。そうなると、収録する楽曲を決めるのも相当苦労したのではないでしょうか?
RoughSketchそうですね、選ぶのもすごく大変でした…。
DOLCE.過去曲の厳選はどのようにしていたのでしょうか?
RoughSketchえっと、僕の曲はクラブミュージックに寄せた曲もあり、ゲームっぽい曲もあり、ハードコアをもうちょっと崩した曲もあったりで、どれかに寄るとアルバムとしてはなんかちょっと違うかなって思って、その3つの分類の中で、このラインは何曲まで~とかやっていった感じですね。大体良いバランスになるようにチョイスしたつもりですが、入れたかったけど入れられなかった曲も何曲かありましたね。3つのディスクともそれぞれ74分ぐらいのギリギリまで詰め込んだので…笑(CD収録が保障される最大時間が78分、工場によって74分程度)
DOLCE.かなり限界ギリギリですね!今回泣く泣く収録出来なかったその曲はまた次のベストアルバムで収録されるかも?
RoughSketchかもしれないですね(笑)
DOLCE.ありがとうございます(笑)今回はリミックスディスクにボーナストラックとして二人のリミキサーがいらっしゃいますが、リミキサーを選ぶ際、決定付けた理由などはありましたか?
RoughSketch今回「Hommarju」さんと「GUHROOVY」さんにお願いしたんですけど、リミックスしてもらおうと思っていた曲は「Distorted Floor」と「Booths of Fighters」で最初から決めていまして、Hommarjuさんは「beatnation Summit 2015」で僕が出演出来なかった時、「映像でもいいから出ようよ!」と言ってくれて、Distorted Floorをライブでかけてくれて。そんな思い出があったので、Distorted FloorのリミックスはHommarju君に是非お願いしようと思って決めました。
GUHROOVYさんは、僕が札幌に出てくる前、RoughSketchとして活動する前から、REDALiCEさんのCDとかHARDCORE TANO*CのCDとかも買っていて。これはもう10周年だし、せっかくだからお店に頼んじゃえ!という事で依頼してみました(笑)
DOLCE.リミキサー陣も昔から縁のあるお二人だったという事ですね!Hommarjuさんに至ってはめちゃくちゃ良い話を聞けた気がします…ありがとう御座います!
~ニーズに合わせた音の住み分け~
DOLCE.お話して頂いたリミックス楽曲について、いわゆる音ゲーの楽曲なども収録されていますが、今回もう一つの楽曲、「No Tears」についてのお話もお聞かせ願えますか?
RoughSketchではゲームサイズの方からお話させていただきますね。あれはIIDXに初めて書き下ろさせて頂いた楽曲で、同人で続けていた「No ○○」というタイトルのシリーズがあったので、それの完結編みたいなものを作ろうと思いました。今までの「No ○○」シリーズは、ネガティブ方面やストレスの捌け口みたいになっていた曲が多かったです。それらを経て、IIDXへの収録で一区切りの夢が叶ったような所で、No ○○シリーズの終了という感じで提供させて頂きました。サントラに収録されたOriginal Full Versionについては、今までのNo ○○シリーズのフレーズを入れながら、これで本当にNo ○○シリーズは終わりです、という意味も込めて作らせていただきました。で、今回のVIPバージョンについては…あまりその辺りの思念渦巻いた所は考えていなくて(笑)
DOLCE.あれ、そうなんですか!(笑)
RoughSketchクラブで使い易いNo Tearsが欲しいなって思って。
DOLCE.なるほど!
RoughSketchゲームバージョンは勿論難しいし、サントラに入っているロングバージョンも歌から始まるので使うのが難しいです。僕が使いやすいように、かつキメの部分とかゲーム的要素は排除して、初めて聴く人もそのまま聴けば体を揺らせるように作り直しました。
DOLCE.完全にクラブユースなバージョンに作り直したという事ですね。自分もDJを触っている身でもあるので、使い易さだったりって結構重要だったりしますよね!分かります。それともう一つ、自分はIIDXの稼働直前プレー動画で初めてプレーさせて頂いた楽曲でもあるので、とても思い入れが強い楽曲になっています。
RoughSketchあの動画は僕も見ましたよ~(笑)ハラハラしながら見ていました。「あ、フルコンされるフルコンされる!」みたいな(笑)
DOLCE.ありがとう御座います!かなり良い感じの所で、してやられてしまいますが…。
RoughSketchあの瞬間「よしっ!」ってガッツポーズしました(笑)
DOLCE.あれは色々含めていい画になったような気がします、ありがとう御座います(笑)そんなNo Tearsのお話をさらに深くお聞きしたいのですが、制作の際に使用したDAWやシンセについても教えて頂けたり出来ますか?
RoughSketch僕が使っているDAWは、実はCubaseの5で止まってるんですよ(笑) (現行バージョンは8)
DOLCE.そうなんですか!?かなり希少種な気がするのですが!
RoughSketchアップデートが面倒くさくて放置していたらそのまま慣れてしまったので、もうこのまま行こうという感じになりまして(笑)ゲームバージョンで使ったシンセについては、ほぼ「Massive」だったと思います。メインのリードもMassive三本と「Sylenth1」一本ぐらいな感じになっていまして。スクリーチというか、キリキリしたような音もMassiveを使っていますね。
DOLCE.もうその辺までもMassiveでカバー出来ちゃうんですね。
RoughSketchそうですね、MassiveがあればNo Tearsが出来る。といっても過言ではないです(笑)キックは「μTonic」と言う909ドラムマシン的なものがありまして、それプラス、ディストーションで「Filterbank」というのと、「Camel Phat」を。当時はこれしか持ってなかったのですが、ロングとVIPを作った時は、「Spire」を買っていて。
この二つのバージョンについてはSpireをリードに重ねてみてはいます。
DOLCE.なるほど!と言う事はゲーム版とロング・VIPでの聴き比べなども出来そうですね!
RoughSketchそうですね!若干音が違ったり、音が広がって聴こえたりするんじゃないかなって思います。
DOLCE.ありがとう御座います。No Tearsに使ったシンセなどお聞かせ頂きましたが、普段主に使っている主力のシンセなども似たような構成で作られていますか?
RoughSketchあまり変わらないですが、ラフをMassiveで打ち込んでおいて、制作の途中でSpireだったりとか他の音に挿し変える事はありますね。なんかMassiveを立ち上げた時の「プー」っていう音が、何にも干渉しなくて聴きやすいので。曲を考える時、Super SAWでベースラインは考えにくいじゃないですか。ベースの音でメインのメロディも考えにくいと思うんですが、そのMassiveの初期の音ってどっちにも転べるので、それでラフを作るってのはよくやりますね。
DOLCE.言われてみればなるほど確かにという感じですね!前回のインタビューでも思いましたが、やはり人それぞれのメロディの作り方ってあるんですね。ありがとう御座います。ここからはアルバムのお話から段々それて行きますが、音ゲー繋がりという事で、音ゲー曲を制作する際に心がけていることはありますか?
RoughSketchあ~と、う~ん、何かな…あんまりハードコアを作ろうとしない、事かな。「ゲームの曲を作る」という大前提があり、それにハードコア要素を入れる、ぐらいの距離感で。なので結構テンションが上がってきて、どんどんキックも大きくなって来て、一日置いて聴いた時なんかに、「いや、これはゲームの音楽なんだ」って自分に言い聞かせてキックの強さを調整したりしています(笑)
DOLCE.さじ加減大事ですよね(笑)
RoughSketchクラブミュージックとゲームミュージックってそもそも使われる場所が違うので、ゲームで使われる前提の曲については「ゲーム音楽を作るんですよ」と自分に言い聞かせています。初期の頃は「ゲーム音楽で俺のキックを聴かせてやるぜ!」みたいな感じになりがちだったのですが、まあやっぱり、ゲームをやってる人はゲームがやりたいので、ゲームをやってくれるような曲を作るように心がけます(笑)
DOLCE.いやーごもっともで御座います(笑)曲がどれだけ良くても、ゲーム的に楽しいかどうかっていうのはまた別の話になってきますからね。ありがとう御座います。